夢の続きは隣の部屋で…

乃里花が一人暮らしを始めたのは、単身専用のマンション。

ここに住んでいる人はみんな一人暮らし、
同棲はおろか、親子で住むことも、ペットを飼うことも認められていない。

ようするに絶対に一人で住むことしか認められていないのだ。

「そういえば、ここに住む人に挨拶したほうが良いのかな~?」

乃里花が住む地域では、引越しがあると町中に挨拶して回る習慣がある。
町長が率先して新しくきた家族の家に出向き、町長と一緒に一日かけて回るのだ。
まさに郷に入っては郷に従え。である。

とはいえ…

ここは東京、乃里花は玄関のドアをそーっと開けてみたけど当然マンションの廊下には誰1人いない。

「ん~、分かんない。明日お母さんが来たら相談すればいいかな。てゆーか引越してから誰にも会ってないけど、このマンション本当に人住んでるのかな?まさか私1人だけ??この東京で独り者なんて私だけ!?!?…ってそんなわけないよね、ベランダに洗濯物干してあったし、みんな忙しいのかなぁ…」

ブツブツ呟きながらドアをしめようとしたそのとき、


「おい、いつまで開けてんだよ、邪魔!!」
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