夢の続きは隣の部屋で…
隣にある乃里花の部屋の玄関を開けて中に入ると、大きくため息をつく。



結婚の約束どころか、私のことも覚えていなかったなんて…

頭の中、ぐちゃぐちゃだ。



また、涙がジワリと滲み出てくる。
10年間、信じていた思いは、こんなにあっさり崩れ去ってしまった。


乃里花は鞄を置くと、玄関にかけられた鏡をのぞく。


「10年…か」


10年前の私は、どんな顔をしていたのかな。
こんなに切ない顔をしたことはあったかな?

10年後…こんなことになると予想できてた?

…未来は、酷だね。


乃里花は靴を脱いで部屋へ入ると、そのままベッドに倒れ込んだ。


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ブブっ!!

バイブが震える。その振動に乃里花は少し目を開け、ポケットからケータイをとりだした。

「…悠果だ」

悠果から送られてきたメッセージに目を通す。どうやら今晩のパーティに向けての連絡だったようだが、今の乃里花には内容が頭にはいってこない。

そのままケータイを枕元に伏せると、乃里花は再び目を閉じた。


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