夢の続きは隣の部屋で…
誰もいないはずの廊下から男の人の大きな声が響いた。
「えっ!?」
乃里花はびっくりして声の主を探した。
「あのさ、ドア開けてたら通れないだろ、用がないなら閉めろっつの!」
コンコンと、ドアを軽くたたかれる。
おそらく声の主は乃里花が開けたドアの反対側にいて、全開に開いているドアが邪魔で通れなくなっているようだ。
「あっ、ごめんなさいっっ!!」
あまりにも急な出来事に乃里花は慌てて玄関のドアを閉めた。
…かと思いきや、5秒くらいして再びドアを開ける。
とはいっても人ひとりの顔が出るギリギリの幅くらい開け、そこからおもむろに顔を出して、さきほど廊下で声をかけた男性を探す。
「あのっ…」
男の人…というには少し幼い顔立ちの青年が、ちょうど乃里花の隣の家の玄関を開け入ろうとしていた。
髪は金髪に近い茶色で、襟足が少し長くいかにも遊んでますって雰囲気を出している。だが顔立ちは今まで乃里花が見たことないくらい整っていて、不思議と違和感はない。
「なに?」
少しムスッとした表情に乃里花は不安になったが、勇気をだして声をかける。
「あの…今日ここに引越してきたんですけど、あいさつとか…
「ちょ、たくと遅い~~!!」
乃里花の声に重なるようにして、隣の家の中から声が聞こえてきた。