夢の続きは隣の部屋で…
「あのさ、まだ時間ってある?」
「ん?大丈夫だよ??」
「じゃあもう一か所、付き合ってほしいところがあるんだ」
時刻は18時。だいぶ日が伸びてきたとはいえ、これから帰路についても十分に暗くなる時間だ。
渋谷から地下鉄に乗り、さらに東京の中心へと向かう。地上に出たときには、あたりはすでに暗くなりはじめていた。
「わ、すごい!!」
地上に出てしばらく歩くと、乃里花の目の前に大きな赤いタワーが映る。
「東京タワー!」
「そっ、一緒に夜景を見ようと思って」
初めて見る本物の東京タワーに乃里花は目をキラキラ輝かせる。ライトアップされ存在感をはなつ姿は、写真で見るより何倍も迫力がありとても綺麗だ。
「行こう!」
「わっっ///」
颯太はさりげなく乃里花の手を掴むと、タワーに向かって少し早足になる。乃里花も慌てて握り返すと、歩調を合わせてついていった。
…本当のデートみたい。
東京の高校生はデートもお洒落。
急に心臓がドキドキと音を立てる。繋がれた手が熱を帯びていく。
半歩だけ前を歩く颯太の顔を見ると、颯太も照れているのか、頬がすこしだけ赤くなっていた。