夢の続きは隣の部屋で…
「…良いから中に入れて!そんなんじゃ納得できない!!」
外とマンションを繋ぐ自動ドアが開くと、大きな声がこだました。
扉の手前に備え付けられているインターフォンに向かって、女の人が話しているようだ。
『わっ…なに?住人と喧嘩??……ってあれ、あの人…』
どこかで見たことある茶色いロングヘアの女性。
たっくんと一緒に歩いていた…ショップ店員の荒井麻衣だ。乃里花が思わず自分のスカートを見た。彼女に試着を勧められて買った赤いスカート、なんだか気まずい。
「…あっ、ごめんなさい。邪魔ですよね」
麻衣は乃里花に気が付くと、さっとその場を避ける。インターフォンに表示された部屋番号は、拓登の部屋の番号が表示されていた。
やっぱり…
乃里花は心の中で大きくため息をつく。また女性関係でもめている拓登にはいい加減あきれる。
トラブルに巻き込まれる前に早く部屋に帰ろう…そう思ってオートロックのカギを開けようとした瞬間、
「、、あー…乃里花、そこで待ってろ」
インターフォンの向こうから、拓登の声が聞こえる。
拓登の部屋とつながったままのカメラは、乃里花の姿をとらえていた。