夢の続きは隣の部屋で…
「はぁ!?…って切っ…た??」
通話が途切れる。いったい何が起こったのか、乃里花は訳が分からないまま麻衣のほうを向いた。
「あなた…拓登のなに?」
麻衣のするどい視線が乃里花に刺さる。綺麗な女性は怒っていても綺麗なままだ…なんて感心する余裕は全くなかった。
「えっと、その、、友達っていうか―」
「ていうか、彼女だよ」
「えっ…」
オートロックの自動ドアが開き、中から拓登が出てくる。
振り返った乃里花の肩を無理やり引き寄せると、髪に優しくキスをした。
「ごめん麻衣、俺、今こいつと本気で付き合ってるから。もう会いに来ないでくれる?」
「はぁ?なに言って…私はあんたの―」
「勘違いすんなよ、俺は最初からお前のことなんとも思ってない」
拓登の声は低く、とても冷たく感じる。突然の出来事にプチパニックになっている乃里花は、顔をボッと赤らめながら目の前で起きている何事かをきょとんと見ていることしかできなかった。
「行こっ、乃里花」
「あっ、わっ、、、ちょっと!!」
肩を強く引かれ、乃里花は少しよろけながらも強引にマンションの中へと連れ込まれる。
振り向きざまに映った麻衣は、強く唇をかみ睨み付けながらも、瞳からは今にも涙が溢れそうだった。