夢の続きは隣の部屋で…
「っ、、」
「……?」
しかし、いつまで経ってもその唇が触れることはない。
かすかに聞こえた拓登の吐息のような声に、乃里花がそうっと目を開ける。
「ぁ…わりぃ、やっぱじょーだん」
目が合うと拓登は小さな声でそう言い、捕らえていた腕を離して身を引く。その顔は先ほどまでの高圧的なものとは違い、どこか切なく見えた。
「え…うん…」
そんな表情をされると、乃里花もどうしたら良いのか分からない。体を起こすと乱れた髪を整えた。
近くに置かれた鞄に手を伸ばすと、胸の前で抱きかかえ防御の体勢をとる。脈拍はなぜか今が一番早い。
「あー、、紅茶、いれるわ」
拓登はそう告げると、キッチンへと向かった。