夢の続きは隣の部屋で…
「実はさ、あんなに通い詰めてお泊りとかしてるのに、あいつ、指一本ふれてこなくて」
「えっ…?」
「一度ね、こっちから襲ってやろうって夜中にベッドに押し倒して誘ってみたんだけど、ぜーんぜんダメ!私じゃなんとも思わないみたい」
乃里花の思考は硬直する。
とても詳しく聞く気にはなれなかったけれど、2人はとっくに男女の仲だと思っていた。
乃里花は、悠果の意外な告白になぜか安堵した。
「そ…そう、なんだ」
「大切な婚約者がいたんだもんね、そりゃ、無理だわ…。。」
「あ…」
ずっと拓登に片思いを続けてきた悠果にとって、事実を知ることは自身の恋が一生叶わないことを突きつけるようで、とても残酷なことだ。
「…ごめん」
「乃里花が謝ることじゃないよ」
「そうだけど、でも…」
うつむいたままの乃里花の目には、申し訳なさからだろうか、涙がにじんでいる。
「私は、これで吹っ切れることが出来るかなって…そう思ってるから。だから、ね?笑って?」
「うん…」
「ちゃんと拓登に話しよ?…絶対に上手くいくから」
乃里花は小さくうなずくと、涙があふれ出た。
「ちょっ、泣かないでよ…私だって、、」
つられたのか、我慢の限界を超えたのか、悠果の頬にも綺麗な涙が伝っていた。