夢の続きは隣の部屋で…

『えー、ご乗車のお客様に連絡します。この先の踏切におきまして自動車が立ち往生しているとの情報が入りました。そのためこの電車はしばらく停車いたします。また詳しい情報が入り次第、お伝えします。くりかえしお伝え…』


「まじかよ…」

拓登の呟くような声に、乃里花は顔をあげる。

「なに?」

「電車、しばらく動かないって…」

「えぇ!?」

いつ終わるか分からないこの状況に、寄り添う2人はただただ、電車が動き出すのを待つしかなかった。



待つ間、乃里花は、悠果と颯太から聞かされた拓登の話を思い出す。

『本当に…本当にわざと知らないふりをしているとしたら、きちんと問いただせば真実を話してくれるのかな、、今でも私と結婚を考えてくれているとしたら…』


ちらっと拓登の目を見ると、視線に気が付き見返される。

『この腕と胸に、堂々と抱かれることになるのかな…///』


また一段階、乃里花の顔が赤くなる。
この密閉空間で過ごす時間は、乃里花が拓登との結婚生活を妄想するには十分すぎる時間だった。

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