夢の続きは隣の部屋で…
乃里花が2杯目のオレンジジュースを飲み終わったころ、電車が動き出したのか、時間を潰していた他の人たちが席を立ち始める。
こういうときにスマホがあれば運行情報をすぐに調べることが出来るが、残念なことに乃里花のケータイの電源は切れっぱなしだ。
「電車、動いたのかな?」
「…あぁ、そう、みたいだな」
拓登がケータイで電車の情報を確認すると、伝票と鞄を手に持ち席を立つ。
「えっ…ちょっと待って!」
無言で会計へと向かった拓登を追いかけるように、乃里花も店から出た。
駅に着くと情報通り、電車の運転が再開していた。
拓登と乃里花は駅の改札を通ると、ホームへと向かう。
この駅は上りも下りも同じホームになっていて、電車の再開を待つ人たちでそこそこの混雑を見せていた。
ちょうどホームに着いたとき、目的地を反対方面の電車が到着する。
「乗るよ」
「え?そっち逆方面だよ?」
「良いから乗れって」
「わっ!!」
ドアがゆっくり開くと、拓登は半ば強引に乃里花の腕をつかむと、電車に乗せた。
電車のドアが閉まり、ゆっくり2人の住むマンションのある駅へと走り出す。
「ちょっ…学校、行かないの?」
「今日は良いわ。だからお前も一日俺に付き合って」