夢の続きは隣の部屋で…
あれから何回電車を乗り換えただろうか。
勝手に目的地を設定し向かっていく拓登に迷子にならないよう、乃里花はついていくのに必死で、気が付いたら出発から2時間以上が経過していた。
「あれ…?」
次の電車を待つホームで、乃里花は急になにかに気が付く。
『この電車って…!!』
ほとんど地元から出たことがなかった乃里花でも、知っている路線、もちろんこの電車が向かう先になにがあるか、、乃里花には分かっていた。
「なん…で?」
驚きのあまり拓登の顔を見ても、拓登は真っすぐ前を向いたまま気がつこうともしなかった。
そうこうしているうちに、電車がやってくる。
「ほら、乗るよ」
「うん…」
思ってもいない場所に連れて行かれる気がして、乃里花の足がすくむ。
拓登に促されようやく一歩を踏み出すことが出来た。
「ここ…」
着いたのは乃里花にとても馴染み深い場所…
そう、乃里化が先月まで住んでいた町原市の中心駅、町原駅。
「また来たかったんだ、俺が生まれ育った町原に」