夢の続きは隣の部屋で…
これから2人で、会えなかった12年を埋めていこう…
帰り道は違う意味でドキドキが止まらない。
バスに乗っている間、肩が触れ合うだけで乃里花は飛び上がるほど心臓が高鳴り、まともに拓登を見ることが出来なかった。
ふたたび町原駅に着く。時刻は16時をまわり、今から帰っても最寄り駅に着くころには日が暮れているだろう。
「乃里花!!」
駅の改札を通ろうとしたとき、後ろから女の人の大きな声で呼び止められる。
「えっ…おかあさん!?」
乃里花が振り返ると、そこには母親が息を切らしながら走ってきた。
「もー、、なんでこんなところにいるの?さっき学校から連絡があって遅刻するって連絡があったきり来なかったって…電話も繋がらないからなにか事件にでも…ってあら、拓登くん?」
「えっと…その、、」
「あー、、そういうことね、…ちゃんと学校に連絡しとくのよ。拓登くん、乃里花をよろしくね」
どんな物わかりの早さだろうか、乃里花の母は拓登に向かってニッコリ笑顔で挨拶すると、180度方向変換をして元来た道へと帰っていった。
「ちょっ…おかあさん!!」
あまりにも急に来て急に去っていくものだから、乃里花も慌てて呼び止める。
「ごめんね乃里花、おかあさん仕事の途中だから、あとは拓登くんに任せるわ~」
ひらひらと手を振ると、そのまま角を曲がり姿を消した。
「…なに、おかあさん、、?」
「あれから学校に連絡してねーから、学校から親に連絡がいったんだろ。お前、ケータイの電源切れてるし」