ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「だからまあ、やる気ある奴ひとりくらいいたら助かるけど」
才伽ちゃんは立ち上がり、「二嶋も喜ぶよ」と、わたしの両手を握って笑った。
言わなきゃ伝わらない。
言わなくても伝わる。
そんな世界にわたしがいるのが、嬉しかった。
ヨウはいつの間にいたのだろう。
窓辺に寄せられた作業机に腰をかけ、わたしたちをいたわるような目で見守っていた。
西日が差し込んでいたせいか、まるで守護霊みたいな優しい存在に思えた。