ぼっちな彼女と色魔な幽霊
わたしの後ろで黙っていた才伽ちゃんが、わたしの前に出ると
「二嶋がうざいとかどうでもいいんだけどさ。
そうやって人の本音を笑って聞き入れないようにして、笑い物にさせようとしているのって、どうかと思うよ。
そんな風に笑うあんた達だって、随分うざいもんだよ」と、呆れたように言った。
棘のない感じであっさりと。
「はあっ?なんなのあんた?」
「思ったこと言っただけ。帰ろ」と、わたしの手を取り、机の前まで連れて行く。
「邪魔」と、才伽ちゃんは机の前にいた山下さんに堂々と言うものだから、喧嘩になるのではないかと心配になる。
山下さんは避けたけど、明らかに怒りを隠せないでいる。
「あんたさ、前から思ってたんだけど」と、詰め寄るから、止めなきゃと思ってたら、「やべー。部活遅れる」と、二嶋くんが教室に駆け込んできた。
あ……良かった。
周りにいた女の子も、まずいと思った顔で大人しくなった。
才伽ちゃんも気にしない様子で、だけど冷たい声で「サヨナラ」と先に行ってしまった。
「あ……一緒帰ろう」と、普段なら躊躇って言えないことがするりと出た。
だって気になって仕方ない。