ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「あっ……」
「誰と話してんの?」と、不思議そうな顔でわたしを見る。
誰って……。わたしも名前はわからない。
困って、すがるように振り返ったけど、そこにはもう誰もいなかった。
「あれ?」
さっきまで、いたのに。
「あの……えっと」
うまく言えずにいると、「もしかして幽霊?」と、笑った。
予想外の質問で答えれないでいると、棚の下のボックスに本を入れながら「うちのがっこ、幽霊いるらしいからね」なんて明るく言う。
「……」
「冗談。まあ幽霊でるって言っても図書室じゃなくて美術室だしね」と、言って、戻ってしまった。