ぼっちな彼女と色魔な幽霊
坂のてっぺんに差し掛かり止まる。すっと息を吸い込んで、地面を一度蹴ってから、走った。
「わあああ」と、間抜けな声がでる。夜だし、幽霊だけど、二人乗りでバランスとりづらいし、スピードでてるし、ていうか、怖い!と、下り終わって急ブレーキをかけた。
ヨウの胸がわたしの背中に勢いよくぶつかる。
「ブレーキかけるなら、少しずつかけろよ、バカ」
「勢いよく下れって言ったのヨウでしょう?早く離れてよ」
そう言ったのに、ヨウはお腹に腕を回すとギュッと抱きしめた。
「わっ」
「ちょっとこうさせて」
「……なっなに?」
「あったけーな」
「ヨウが冷たすぎるんだよ」
「まあな」
「てか何してんの?」
「ちょっと考え事」
「この体勢じゃなくてもいいでしょ。早く離れてよ。重いってば」
「んー?」と、耳元で囁くような声。いくら幽霊でも、くっつかれると戸惑うに決まっている。