ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「だから言っただろ」

ヨウに呆れたように言われた。

「び……びっくりした」

「いやこっちの科白だから」

「もう帰る!ていうかなにか思い出した?」

そう訊くと、ヨウは自転車を降りた。

「チャリで、誰か怪我させたかもしれない」

「また誰かかぁ」と、曖昧な返答に突っ込むと、「悪かったな。こんな中途半端にしか思い出せなくて」と、わたしの自転車を奪うと、向きを変えた。

慌てて後を追う。

「人にぶつかったの?」

「転んだ」

「ダサッ」

「殺……」と、ヨウが言い掛けてるところにかぶせて「嘘です。すみません。とってもかっこいいです」と、言った。
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