ぼっちな彼女と色魔な幽霊

映画館に着き、上映開始時間とタイトルを電光掲示板で確認していると、チケットを買い終わった人がこっちに向かってくるのが見えた。

左に寄ろうとすると、ヨウが「危ねーだろ」と、わたしを抱き止めた。

「な……何すんのよ?」

「後ろから人きてんのにひな子がこっちに来るからぶつかるとこだったぞ。
本当にお前周り見てないよな。
電車ん中でも思ったけど」

「うるさい」と、小声で言いチケットを買いに並んだ。

幽霊じゃなく小姑か。それか先生か。

席はなるべく隣に人が座らなそうな人気のない場所を選んだ。

「ポップコーン食べる?暗いから、たぶん食べても気づかれないよ?」

「食う食う。塩ね」

「キャラメル」

「塩」

「誰がお金出すと思ってんのよ?」

「ハーフで我慢してやるよ」

ヨウは偉そうに言った。
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