ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「面白かったね!」
「だろー?やばいよな。ぶっ飛びすぎて鳥肌たったわ。ラストも泣けたし」
「えっ? 意外泣いてたの?」
「色々思い入れがあんだよ」
「へえ。でも本当すごかったなー。ビルとビルの間、車飛んでたよね?あれどうやって撮ったんだろ?あの主演の人もかっこ良かったなー!」
バンバンと興奮して彼の肩を叩いてた。
「おっ前……。さっきと言ってること違くね?変な奴だと思われるぞ」
「わ……興奮して、つい……」
「まあいいけど」
それから小声で言った。
「でも本当に面白かった。今まで映画館でアクション観たことなかったけど大画面で観るからこそ、面白みが増すんだね」
「だろ?俺、全作観てるからな」と、得意気に微笑むと同時に、スッと風が通り抜けるような冷めた感覚がわたしを襲った。
「ヨウ?」
「んー?」
「本当は何か思い出してない?」