ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「……」

「やっぱり」

「やっぱりじゃねーよ」

「だって映画のこと覚えてるんでしょ?全部観たってことも。
この映画の一作目、随分前に作られたやつだよね。わたし、観てないけど名前くらいは前から知ってたし」

「……ちげーよ」

「……」

「全部思い出してるわけじゃない。
でも時々思い出すこともあるし、最初から残ってた感覚みたいのもある。
例えば好きなおにぎりの具とかはなぜか最初から知ってたし。
この映画もそれと一緒だよ。なんか知ってたし、観たかった」

本当に?って、訊きそうになったけど、やめた。

別に疑うことじゃないし。

ヨウが嘘を吐いたって別に構わないし。

言いたくなくてひとりで色々考えて動いているならわたしは巻き込まれなくて楽だし。

前みたいに幽霊調査なんて任されるのも恥ずかしいに決まっているのだから、やりたくない。

そうわたしが望むことはヨウが早く成仏してわたしに迷惑がかからなくなることだけだ。

……うん。
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