ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「しっ……知らないよ」

「まあいいや。もしさ、またあの子見つけたら教えて。たぶんお前が叫んだら、俺に伝わる気するから」

「うん」

ヨウはちゃんと自分を知って成仏したい。

幽霊の純粋な願い。

ならわたしはこうやって、左腕についたミサンガに毎日祈るしかない。

それが生きてるわたしに出来る唯一のことなのだから。

「よし。ヨウ、ゲームしよう!得意だった?」

「ゲーム? ひな子には何も負ける気がしねーな」

ヨウの過去にわたしはいないけど、せめて死んだあとのこの時間を楽しく過ごすことで、ヨウの大切な記憶を呼び戻してほしいと願いたくなった。
< 165 / 333 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop