ぼっちな彼女と色魔な幽霊
遠矢くんが、背もたれに背中を預けると椅子が少し後ろに動いた。
「まあそれだったら埋まるな。でも誰にするかだな」
「手当たり次第頼めそうな先生に訊いてみる?」と、才伽ちゃん。
「でもどうせ読むなら、目立つ先生のがいいよな。未だに先生のことよくわかんないし、パッと見て誰かわかる感じの人のほうが俺としては読みたいかも」と、二嶋くん。
「去年まではいたらしいよね。美術部の顧問超絶イケメンで人気あったとか聞いた」
「今いる奴の話をしろよ」とすかさず突っ込む遠矢くん。
ふっと頭に浮かんだ。
でもどうだろう。
先生じゃないし。
「なんある?」と、遠矢くんが訊いた。わたしが何か言いたいのが伝わったらしい。
「あっ……先生じゃないんだけど、あの毎年文化祭でミス・ミスターコンやるって訊いたから、去年のミスターかミスの人はどうかなとか思ったんだけど」と、わたしは提案した。