ぼっちな彼女と色魔な幽霊
昇降口で才伽ちゃんを待っていた。
結局、佐田先輩を交えての話し合いというより、ノリでわたしの提案で決まってしまったけど本当に良かったのかな。
「なんでヨウまでついてくんのよ?」
「いや可愛いって言うからさ。見たいじゃん。現在のJKはどんだけのレベルなのか」
「レベルって嫌な奴ー」
「つうか知り合いなのか?ミスと?」
「知り合いじゃないよ。ただ中学のときの憧れの先輩。顔ちっちゃくてねースタイル良くて可愛くて当たり前みたいな人だったなー」
「へえ」
話す機会なんてなかったけど、唯一の思い出は、図書室の机に置きっぱなしになっていた本が気になり手に取ったら、
「ごめん。それ、わたしのなんだ」と、声をかけてくれたことだけだった。
そのあと先輩はこんな本を読むんだと真似して買ったのが、あの童話集。
……暗い。
真似するとこ、そこかよ。
「何? 何かあったのかよ?」
「あるわけがない」
ただ自分の暗さに絶望しているのだ。