ぼっちな彼女と色魔な幽霊
電車を降りると改札の前に、ヨウがいた。
「おっせーぞ」と、ポケットに手をつっこんだままぶっきらぼうに言う。
「どこ行ってたの?」
「あー。ちょっとな」
「ちょっとって……心配してたんだよ」
「大丈夫だって。危ないことあるわけねーんだから」
「そうじゃなくて……」と、口をつぐんだ。
言わなくていい。ヨウの自由だ。そう言い聞かせた。
改札を抜け歩く。
西の空が眩しくて美しいとき、わたしはときどき天国かと思う。
雲の隙間からくつろいだ神様の黄金の足が伸びているから、あんなに眩しいんだ。
足を止め振り返ると、ヨウはしっかりと見上げてた。
色を持たなかった瞳に、光や雲や色彩が溶け込んできれい。
「空がきれいですね」
気づいたら呟いていた。空のようでヨウに言ってるみたいに。