ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「告白?」
「……はっ?」
「あれみたいだったから、漱石の逸話。 I love youを月が綺麗ですね、て訳せっていう」
「ち……違うよ」
「知ってる」
からかっただけか。
「でも月がきれいですねって告白されたらって妄想したことはあるよ」
「妄想? 今度はどんな脳彼だよ?」
ちょっと笑いながら彼は訊いた。
「えっとね。まず相手のイメージはね、眼鏡の似合う文系男子で、髪の毛とか染めたことのないような感じの人。
普段は無口なのに、月のきれいな晩に急に家にきて、散歩に行きませんかとか誘ってくるの。
でも実際行ってみると、会話もそんなに弾まなくてシンとして気まずいかな?怒ってるかな?
と、思っている頃にちょっと不器用な感じでそう言われたい」
「ははっ。具体的。妄想パワーアップしてね? つうか秀一に言ってもらえばいいじゃん?」
「えっ?」
「図書委員のあいつ、今言ったイメージにぴったりじゃね?」
「脳彼のイメージに、恐いは入ってないからな。もう少しソフトな感じの子がいいな」
なんかびっくりした。その言い方ナチュラルすぎて。