ぼっちな彼女と色魔な幽霊
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校外学習の日は天気が良かった。
学校に集合しバスで移動。目的地のキャンプ場へ行く。
ヨウはやっぱり夜に突然いなくなったけど、朝の通学路で登校中の生徒みたいなタイミングで現れた。
また意識とんだ、笑いながら言うけど、うまく笑い返せなかった。
各班に別れ、前もって作業分担していた通り、才伽ちゃんとわたしは調理、男子は米を炊き、火を起こす準備にとりかかる。
野菜を洗い、皮を剥くと手際よく切っていく才伽ちゃん。
「上手だね。才伽ちゃん」
「料理は好きだから」
才伽ちゃんは「これ当たりね」と器用に包丁を使って人参でハートをつくった。
ご飯も炊け、カレーの匂いが鼻を刺激する。
「いただきまーす」と、みんなで手をあわせ食べ始める。
「おいしいね」
当たり前のように飛び交う明るい音色みたいな声がよりおいしくさせてる気がした。
「さすが女子。やる。あ、才伽は別ね。男子だから」と二嶋くんが言う。
「二嶋」と、睨む才伽ちゃん。
「つうか米やばい。おこげまじリスペクト」と、隣に座る男子。
笑って、二嶋くんはハートの人参を口にしたけど、気づいてないみたい。女子のこだわり。
わたしより才伽ちゃんが張り切って作業してたのにな。
男子がおかわりをしている後ろ姿を見ながら、さっきまでうろうろしていたヨウの姿がないことに気づいた。
カレー食べさせるって約束したんだけどな。
丸皿にご飯とカレーを少しずつ取り分けて、その場をそっと離れた。
どこいっちゃったんだろ?