ぼっちな彼女と色魔な幽霊

食事をしているところには見つけられなかったから、広場を離れて少し降りたところに川があったことを思い出した。

ひとりで黄昏れてたりして。昨日の今日だし感傷的になっているかもしれない。そんな姿を勝手に思い浮かべてしまう。

よし、見つけたら、驚かしてやろう。嫌な気分を一瞬でもなくしたかった。

そう考えながら、消えてないよね?と不安が頭を過ぎる。

「西宮さん」

呼ばれて立ち止まる。山下さんだった。

「あ……」

教室で文句を言われてからお互いに声をかけることもなかったから、話しにくかった。

「どこ行くの?」

「えっ……トイレ」

「カレー持って?」

「あっ、うっかりしちゃって」

彼女は呆れたような溜め息を吐いて、腕組みをした。

「トイレ、遠回りだけど向こうから行ったほうがいいって。
そっちの道、昨日雨降ってたから、ぬかるんで危ないって、さっき通りすがりの人に言われたから」

「……あ……ありがと」

意外に親切なこと言ってくれるから驚いた。

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