ぼっちな彼女と色魔な幽霊
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「ちょっとそれ貸してよ」
聞き覚えのない声にびくりとする。
ちょっと横目で見ると、あの子があの子に声をかけたねって、わかる。
話しかけられたのは、わたしじゃないってわかる。
安心してるけど、心もとない、今にもほどけてしまいそうな紐のパンツを身につけているような感じ。(ヒモパン履いたことはないのだけど)
教室の空き時間、黒板や中庭を眺めたりするのも窮屈になり、最近はもっぱら本を読むという行為に気を集中させている。
わたしのお小遣いじゃ本は沢山買えないし、手持ちの本は本棚ひとつぶんくらいしかない。
まちの図書館は遠いし、学校の図書室がいちばん手軽で便利。
わたしが本をよく借りに図書室に行っていたのは、そんな理由だけだった。