ぼっちな彼女と色魔な幽霊

カウンターで注文し、トレイを持って先に席をとってくれた二嶋くんの向かいに座った。

二階の窓際の席だった。アーケードを歩く人がよく見える。人間観察には最適な場所。

二嶋くんがペーパーナプキンを取りに席を立った隙に、ヨウがポテトをつまみ食いした。

「あっ!」

「ひっさしぶりに食べた。うまっ」と、笑うから小声で注意しながらも赦してしまう。

四人揃い、竹本の宮崎先生に対する態度について悪態をついていた頃、才伽ちゃんが思い出したように言った。

「そういやさ、秀一のクラスの今井? 退学するようなこと聞いたんだけど本当?」

今井さんって、確かもう一人の図書委員の子だ。

「いや、俺知らないけど」

「でも学校にも全然来てないんでしょ?」

「ああ。全然見かけないな」

「時間の問題だよねー」と、ハンバーガーにかぶりつく。

わたしは少し驚いて訊いた。

「今井さんって委員会だけじゃなく学校も来てなかったんだ」

「そうそう。登校拒否らしいよ」と、才伽ちゃんは答える。
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