ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「なんで来れなくなったのかな?」
「さあ、あんまり覚えてないからな。馴染めなかったんじゃないの」
遠矢くんは、興味のないように言うけど、わたしは心がぐじゃぐじゃに、落書きされたみたいだ。
登校拒否……。
わたしもぼっちな状態がもっと長く続いていたら、学校に行けなくなってたのかな?
今井さんの登校拒否の理由はわからないけど、友達ができないとかそういう理由で来れなかったとしたらと想像してしまう。
辛いよ、な。
学校には、あんなに大勢人がいるのに、自分はひとりぼっちだなんて、まるで世界中から嫌われたみたいに思えるから。
傷つくし、周りが怖いし、まるで未来まで暗く覆われているように見えてしまう。
来れなくて当たり前だと思った。
わたしはやっぱりこの目の前の現状をありがたく頂く。
例えばそれが(仮)みたいな関係だとしても。
ぼっちに戻るのは、恐いに決まっている。
わたし達の隣の席に座っていたヨウが立ち上がったかと思うと、「ひな子。お前の好きな花愛先輩いるぞ」と言うから、思わず見てしまった。
マックの向かい側の店の前でうつむき、スマホで何かを確認してるように見えた。
今日は軽く夏日で半袖でも良いくらいなのに、カーディガンを羽織っている。
やけたくないのだろうか。色白だしな。
先輩は、顔をあげると駅のほうへ向かっていった。
それに気がついていたのは、わたしだけじゃなくて、たぶんみんなだった。
どうしてか、気まずい沈黙が広がる。何かしたのかな?そう思うけど、聞いてはいけないよう空気。
少しして、才伽ちゃんが少し真剣な面もちで口を開いた。