ぼっちな彼女と色魔な幽霊
マックを出てぽつぽつ話しながら、カラオケへ向かった。
才伽ちゃんは、さっきと変わらない冗談を言って場を明るくしようとすることを続けるから、あわせて笑った。
だけど、空元気に見えるから、無理して笑わせてるようにも感じて、そうさせている自分が嫌だった。
才伽ちゃんは、わたしなんかに甘えないだろう。
だから、こうして笑顔しか見せてくれないんだ。
それがすごく寂しかった。
カラオケに着いてから、先にお手洗いへ向かうとヨウがなぜか着いてきた。
「ひな子」
「なによ」
小声で返事をする。
「まーたあれか? 気の利いたこと言えないって悩んでんだろ」
「うっさい。それもあるけどさ」
「あるけど?」
「いい。なんでもない。ていうか女子トイレまで着いて来る気?」
気落ちしてるのがバレたくなくて、わざと早足で進む。女子トイレに逃げれば大丈夫と思っていたのに、ヨウはわたしの肩を掴む。
そのまま身体が反転すると、壁を背に、ヨウの両手の中に閉じ込められた。
幸い人が居なかったから、いいものの、「なによ?」とヨウを睨んだ。