ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「ひな子のくせに、生意気だ」

「はっ?」

「ムカつくんだよ。そんな顔してんの」

「元々こういう顔ですけど……」

反論しようとすると、「違くて」と、優しい声で制した。

「寂しいんだろ?」

自分の気持ちを言い当てられてしまったけど、うんって素直に言えなかった。

だって寂しいなんて言ったら、またバカにしたり、偉そうに色々言ってくるに違いないから。

「俺は幽霊だから、お前の考えていることくらい、お見通しなんだよ」と、わたしの頭をポンッと撫でた。

「……」

言わなくていいと決めたのに、言いたくなってしまう。

なんでこんなタイミングで優しくするの?

疑問に思ったけど、ヨウはこういう一面だって、あるんだった。

わたしが転んだり、熱を出したりしたときに、ぶっきらぼうだけど、ヨウなりに優しくしてくれた。

そう思うと、余計な心配はかけたくない。

ぐっと唇を噛んで、俯いた。

「なあ、ひな子?」

「なによ」

「本音で話して欲しかったんだろ?」

少し間を置いてから、頷く。

「わたしをもっと頼ってって思ったんだろ?」

「わ……悪い? ぼっちなわたしが調子にのって、おかしい?」
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