ぼっちな彼女と色魔な幽霊
少し待っていたけど、遠矢くんはまだ戻ってこないし、ヨウも、なぜかわたしの後を着いてこなかった。どこ行っちゃったんだろ。
「遠矢くん、遅いね?」
「お腹下してんじゃね?」と、才伽ちゃんは冗談を言いながら曲を選んでいたけど、ふと手を止めて顔を上げた。
「てかごめんね。あたし、西宮さんに二嶋頑張ってみたらとか言ってたのに、二嶋に花愛先輩に告れみたいなこととか言ってさ」
ううんと、首を振った。
「二嶋、何年前かな?
他の中学との陸上の交流会みたいなので、花愛先輩と出会ってから、ずっと先輩に片思いしてたみたいなんだ。
でもまあ、あいつアピールとかできない奴だから、同じ陸上部の奴に花愛先輩とられちゃってさ。
それで今年の3月くらいだったかな?
花愛先輩たち別れたんだ。
なのにさ、せっかく先輩フリーになったのに、ずーっとうじうじしてさ。
もう見ててイライラしてしょーがなくて。
諦めようとしてんのかもしれないんだけどさ、それはそれで気持ちくらい伝えたほうがすっきりするんじゃないかって思ってさ。
じゃないとあいつ変わらない気がして」