ぼっちな彼女と色魔な幽霊
才伽ちゃんは目を丸くしてから、優しく微笑んだ。
「そうだね。ごめんね。わかってる。わかってるけどさ、一度失うとなんか怖いから、最初からないものだと考えたくなるんだ」
「……あ」
そっか。才伽ちゃんは、わたしとは違う。
沢山友達がいて、離れてしまった痛みは、わたしにはわからないものだ。
何を知ったつもりで、言ったんだろう。あれじゃ、ただの八つ当たりだ。
「西宮さんにも、失礼だもんね」
「えっ?」
「友達なのに」
「友達?」
わたしが聞き返すと、「なんでそこで驚くの?」と笑うけど、思いがけない言葉にドギマギしてしまう。
「気持ちで付き合うか……あたしは、西宮さんみたいに素直じゃないからさ、そういうの難しいけど、大事だね。ありがと」
「えっ……わたしだって、素直じゃないよ」
「そんなに怒れるのに?」
「えっ?怒ってた?」
「少しね。こんな顔してた」
才伽ちゃんが、口をへの字にするから、二人で笑いあった。
もしかしたら、わたしが友達じゃないから、頼りないから言わない――ではなく、言えなかっただけなのかな。
そういえば、わたしもさっき、ヨウに心配をかけたくないと思った。
それはもしかしたら、された方にとっては寂しいことでも、相手は思いやりや気遣い、そういうものだったりするのかもしれない。
ひとりで拗ねていただけなのかな。
色々考えながらも、才伽ちゃんに言われた友達という言葉は、真冬のスープのように、わたしの体に染み渡っていくのは確かだった。