ぼっちな彼女と色魔な幽霊
それからすぐ遠矢くんとヨウはカラオケルームに戻ってきた。
遠矢くんは片手にソフトクリームが入ったカップを持って、才伽ちゃんの前に置いた。
「食べたいなんて言ってないけど」
「いつも人の横どりするから、先手」
「ちょっとタイミング早いけどなー」と、言いながら一口食べた。
「ひな子ちゃんもいる?」
ううんと首を振る。
「気、利かないんだから」と、才伽ちゃんはわたしの分を持ってこなかった遠矢くんを非難するけど、わたしは微笑ましく感じた。
わたしを気にかけることなく、大事にしたい人にだけ優しい遠矢くんがなんかいいなと思った。
大事にしたい人だけ大事にするってシンプルだけどなかなか出来ない。
周りの人にも気を使うから。
二嶋くんと正反対な人なのかな。
どっちがいいとかじゃなくて、どっちもいい。
違いがあって、みんないいとこがあって当たり前で、そう気づけたことが嬉しかった。