ぼっちな彼女と色魔な幽霊

JRの電車に乗って、最寄りの駅に着く。住宅街をヨウと一緒に歩いていた。

「ひな子」

「ん?」

「失恋したかー」

わざとらしいがっかりした顔。

「してないよ。恋じゃなかったし」

だから、はっきりそう言った。

「はあっ? 何言ってんだよ。強がり」

「強がりじゃないの。わたし今まで恋したことなかったから、よくわかんなかったんだよ」

「ふうん。じゃあ元気なんだな」

「落ち込んでると思って心配してくれたんでしょ?」

「ひな子が元気ないと、俺が元気になれるらしいからそのほうがいいと思ったんだけどな」

「……そしたらわたし、一生元気なきゃいいな」

「はっ?」

「なーんでもない。ほら早く帰るよ!」

ほらやっぱり気づいちゃうじゃないか。

浮かばれない。

それは幽霊に恋してるわたしの科白かもしれない。
< 217 / 333 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop