ぼっちな彼女と色魔な幽霊
JRの電車に乗って、最寄りの駅に着く。住宅街をヨウと一緒に歩いていた。
「ひな子」
「ん?」
「失恋したかー」
わざとらしいがっかりした顔。
「してないよ。恋じゃなかったし」
だから、はっきりそう言った。
「はあっ? 何言ってんだよ。強がり」
「強がりじゃないの。わたし今まで恋したことなかったから、よくわかんなかったんだよ」
「ふうん。じゃあ元気なんだな」
「落ち込んでると思って心配してくれたんでしょ?」
「ひな子が元気ないと、俺が元気になれるらしいからそのほうがいいと思ったんだけどな」
「……そしたらわたし、一生元気なきゃいいな」
「はっ?」
「なーんでもない。ほら早く帰るよ!」
ほらやっぱり気づいちゃうじゃないか。
浮かばれない。
それは幽霊に恋してるわたしの科白かもしれない。