ぼっちな彼女と色魔な幽霊
六時間目の美術の授業が終わったあと、わたしはひとりで美術準備室の扉を開けた。
前、扉に貼られていた『閉めるの禁止』の張り紙はなくなっていた。
立てかけられていた人魚姫の絵を眺めて考える。
ヨウはこの絵を気にしてたっけな。
それはやっぱり描いたのはヨウだから。
だけどさっきの才伽ちゃんの話を聞いて違和感を感じた。
あの歌を知っているってことは、ヨウは最近まで生きていたということになる。
二月以降に亡くなっているなら、美術部の生徒は知っているはずだ。
都市伝説になんかならない……というかそういう男の子がいてという確かな話が聞けるはずだ。
それとも何か言えない理由があってごまかしていただけだったのかな。
そしたら、何があったんだろう。
美術部の秘密。
扉の開閉音がして振り返ると、かめちゃんが驚いた顔でわたしを見ていた。