ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「西宮さん、何やってるの?」

「あっ、絵を見てて」

「絵?……へえ、その絵気に入ってるの?」

「気に入ったというか……なんか印象に残る絵だったから気になって。
あの、これって誰が描いた絵かわかりますか?」

「誰の絵なのしらねぇ。初めて見たわ」

そういって抱えていた教材をキャビネットに戻す。

「あの……美術準備室の扉って壊れてたんですか?張り紙なくなってたから」

「ん? ああそうなの。一回閉まると開けるまでが大変でね。閉じ込められそうになった人もいたから」

「わたしだけじゃなかったんだ」

「西宮さんも閉じこめられそうになったの?」

「ああっ、はい。閉じ込められたことがあって、そのとき丁度美術室に幽霊が出るって噂をきいていたので、幽霊が出たのかと思って焦った思い出が」

「ええっ?そんな噂があるの、今は」と、目を丸くして顔をほころばせた。

「今はって言うと?」
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