ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「わたし、ここの学校の卒業生で美術部だったの。
わたしがいたときは、そんな噂なかったからおかしくて。
どういう噂なの?」
「えっ……と……美術部員の男の子が、女の子をモデルにして絵を描いていたんだけど、
事故で死んじゃって、その描き掛けの絵を完成させたくて化けてでるってやつ」
「なにそれ? 本当に?」と今度は驚いた。
「えっ?」
「あのね。わたしが三年生のときの文化祭でね、美術室を使ってお化け屋敷をやったの。
そのときの幽霊の設定が、今言ったような話だったからびっくりしちゃって。
もしかしたらそれが噂に変わっちゃったのかな?
おかしい」と、笑った。
「幽霊の設定?」
「なんか幽霊にもストーリーがないとイメージ湧かなくてお化け屋敷作れないとか言い出す人がいてね。
お陰で恐いの作れたから、けっこう好評だったけどね。
懐かしいな。
でも本当に子供ってすぐ怖い話とか七不思議みたいなの作りたがるのね。おかしい。
さあ西宮さんもあとホームルームだから戻りましょう」
そう言うと時計を気にした。