ぼっちな彼女と色魔な幽霊
『赤い蝋燭と人魚』
冷たい北の海に住んでいたみもちの人魚は、産まれてくる子供には、そんな寂しい場所で暮らしてほしくないと、優しい生き物である人間の世界に娘を産み落とした。
人魚の娘はおじいさんとおばあさんに拾われ、可愛がられ器量よく成長する。
だけど人魚という形に恥じらいを持ち人前には現れず、ろうそくに絵を描いて暮らすようになる。
その娘のろうそくは海の災難から守るものだと遠くの村の人まで買いに来るほどになった。
ろうそくを買った後、山のお宮に参詣してろうそくに火をつけてささげそれを持ち帰ると、「ほんとうに、ありがたい神さまだ」と、山の評判があがるようになる。
ろうそくに娘が一心に描いてる思いなんて誰も気づかないで。
娘は疲れては、涙ぐむ。海を恋しくも思う。