ぼっちな彼女と色魔な幽霊
そこでヨウは腰をあげて、階段を下りた。
「どこ行くの?」
「砂浜に名前でも書くか」
「よく覚えてるね」
「ひな子参上とか、愛羅武勇とか漢字で書くって言ってただろ?」
「言ってないからっ! 勝手に人の妄想書き換えないでよ。ていうかその発想。ヨウ本当は昭和なんじゃない? 昭和の不良だ」
拾った流木で、砂浜に落書きをした。
ヨウがあんなこと言うから、名前なんか書けない。
「何書いてんだよ?」
「……猫」
「まあ見えなくもねーな」と、わたしの手から取ると、ヨウも砂に書き始めた。
「何これ?」
「ひな子……モグラ」
「だからぁ。なんでわたし名前にひながついてるのに、モグラなのよ?」
「猫といえばモグラだろ」
「ねずみでしょうが」
「庭でよくモグラが野良猫にやられて死んでたからな」