ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「……野良猫、庭に出入りしてたんだ」
「らしいな。今、思い出した」
「ヨウも自分のこと野良猫みたいに思い出せたらいいのにね。なんかいい方法ないかなー。写真は失敗したし」
「ひな子の腕が悪いのかもよ」
「じゃあ自撮りしてよ」
「やだよ」
「あっ。今思い浮かんだんだけど、一緒に撮ったら写ったりして」
「なんで?」
「いや幽霊って集合写真とかに紛れ込んだりとかしてるから……人と写ると変わったりするのかなって、嘘。冗談」
そんな短絡的な発想ヨウにバカにされると思ったのに、「撮る?」と、わたしを見た。
「えっ……あっ……うん」
提案したわたしが動揺している。
スマホのカメラを起動させて、二人で肩を並べた。
「もっとくっつけよ」
「えっ?」
肩を抱き寄せられ、頬がくっつきそうだった。
わ、笑えない。恥ずかしすぎて、笑えない。
カシャとシャッター音が鳴った。