ぼっちな彼女と色魔な幽霊

確認すると、わたしひとりが海をバックに笑っていて、ヨウは白いもやみたいなのもかからず、そこにはいなかった。

ハァと溜め息を吐くわたしを見て、「写ってなかったんだろ?」と、得意気に笑った。

「お察しのとおり」

「だよな。そんなことだと思ってた」

わたしがさっきああ言ったのは、心のどこかでヨウとのツーショットの写真が欲しかっただけかもしれないと思った。

だってヨウが消える、消えるって言うからわたしだって、考えちゃうじゃん。

ヨウは幽霊だし、成仏したいくせに、する前に消えてしまう可能性が出てきたなんて、それはタイムリミットがいつなのか、明日なのか、今日なのか、わからないことなんだって考えちゃうじゃん。

わたしだって、不安なんだよ。

だから自分のことなのに、諦めないでよ。

どうせ消えるなら、なんて諦めたようなこと言わないでよ。

諦めたら、ヨウが本当に消えてしまうんじゃないかって不安になるんだから。

だから思い出に残せるなら、なんて悲しいこと考えちゃったんじゃん。
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