ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「ひな子と写真くらい撮れたら良かったのに」
「えっ?」と、ヨウを見た。
「俺がいなくなっても、何も残らないもんな」
「……ヨウ?」
動機が激しくなってきた。
なんかおかしい。なんかおかしいんだ。
そう今日はずっとおかしかったんだ。
覇気がなくて、ヨウらしくないんだ。
海が見たいとか、どうせ消えるならとか、そんなこと言って、ヨウらしくないんだ。
「なあ、ひな子」
「何?」
「俺さ、ひな子に言ってなかったことがあるんだ」
「言ってなかったこと?」
「あのさ」
震えていた手から、スマホが砂浜に落ちた。
慌てて拾って、ついた砂を払った。