ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「本当ですよね。妄想を聞きたがる幽霊と遭遇してしまったせいかもしれないです。今の話、採点したら何点くれますか?」
「あなた見てると、なんかどうでもよくなるね……けど一点もあげない」と言う部長さんの肩の力が抜けた。
「あの、最後にひとつだけ教えて下さい。花愛先輩、誰にそんな話をしてたんですか?」
「誰って知らない。彼氏なんじゃない? 男の子だったから」
「どういう子でした?」
「えっ? まあ、あの子に似合いそうなタイプの子だったけど」
「……」
「何?」
「いいえ。ありがとうございました」
「……何もお礼言われることしてないじゃない」
「先輩のお陰で、成仏できる人がいるかもしれないんです。お礼を言うに決まってます!」
「成仏?」
「はい。成仏です」
そう言うと、「美術室に幽霊なんかいるわけないじゃない」と、力なく笑った。