ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「……バカかお前」

一瞬で男の子は、わたしの目の前にいた。

ずぃっと顔を近づけると、

「俺は幽霊だから、ひな子をとり殺すことだって出来るんだからな」

そう言ってニヤリと笑いわたしの顎先を彼の方へ向かせた。

なにこいつ。性格悪い。

しかもさっきから軽々しくわたしに触れてくるし。

絶対生きてるとき、チャラかったに違いない。

今読んでいる本の主人公を思い出し、気がつけばその名前を呟いていた。

「ヨウちゃんめ」

「誰だよそれ?」

「……名前ないなら、つけてあげる」

「は?」

「ヨウ」と、主人公の名前を幽霊につけた。

「好きに呼べば」

「わ……わたしが着替えるときは、出て行ってね!」

「興味ない」

本気で興味がないのが伝わるほどあっさり言った。むかつく。

「変なことしたら赦さないからね!」

「お前は、そういうこと一切選ぶ権利はないから」

「……」

とり殺す気満々ですか。
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