ぼっちな彼女と色魔な幽霊
屋上の手すりに腕をのせ眺める。
小さく見える部活中の生徒は、皆同じに見えた。
運動場を走る人、泳ぐ人のいない緑色のプール、夕暮れを待つ住宅街、遠くに見える小さなビル群。
見守るような瞳で見れば、何だって優しいものなのかもしれない。
「そっちまで行くの珍しい」
いつもの場所に背中をもたれて座るヨウが言う。
立ち入り禁止のこの場所、誰かに見られて呼び出されるのが恐くていつもそこから動けなかった。
だけど今日は違う。
きっとこれが最後になるから。
一度見てみたかった屋上からの眺め。
それに勇気づけられる。
振り返って言った。
「あのさ、ヨウ!」
「んー?」
「ヨウの探してた人、見つけたよ!」