ぼっちな彼女と色魔な幽霊

両思いとかなれなくても、せめて伝えれば良かったんだ。

素直になるのはヨウじゃなくて、わたしだ。

「好きって言えば良かったぁ」

やっぱり涙、でる。

ポタリと手首を濡らす。頼りないミサンガは切れないままだ。

涙、でるよ。もう。

わたし、なにやってるの。

風がまた髪を揺らして遊ばせる。慰めてるみたいに。

そうやって感じられるくらいだから、わたし大丈夫。大丈夫だ。自分にすごく余裕ある。

なのに、涙が止まらなくて、正直これは堪える。

「あー。バカバカバカバカバカ」

何度自分にバカを言えば、諦められるんだろ。

百万回言っても、足りない気もする。

もう、いい。

ただ泣く。バカなわたしの為にただちゃんと泣く。

そして、ヨウの魂がちゃんと身体に戻れると信じるんだ。

それが叶うだけで充分だ。
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