ぼっちな彼女と色魔な幽霊

かあああっと顔がものすごく熱をもつのがわかった。

あの日、ベッドの中で抱きしめてくれたのは夢じゃなく、しかもわたしがそんな大胆な発言をしたからだなんて。

「嘘っ」

「伝えてほしい。気持ち。じゃないと、俺、どうあっても一生後悔する。こんなんで自分の身体に戻れるなんて思えない」

「気持ち?」

「言うことないの?」

「言うこと?」

考える。

なんで抱きしめてと言っただけで、ヨウはわたしを抱きしめてくれたのかな。

女の子に慣れているから。それともわたしがキャラ的にモグラみたいだから。

そんな理由で抱きしめてくれたのかな。

ヨウはなんて言ってほしいのかな。

ううん。相手が求めること、どうだっていい。

応えられなくてもいい。

伝えたいな。

今日が最後の日にならないように。

希望の言葉を口にしたい。

「……空がきれいですね」

声が震えた。なんか泣きそうだった。

さっきとは違う熱い思いで胸がいっぱいだったから。
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