ぼっちな彼女と色魔な幽霊

だけど、ひと口食べると、あっという間に平らげてしまった。

「ねえ本当に幽霊?」と、やっぱり騙されてる気がして訊いてしまう。

「おう」

「ただ体温が低い人じゃないの?」

「ただ人から見えない人?」と、訊き返されると……それは幽霊だよなと思ってしまう。

見えない人間はいない。

……あれ。わたし見えてるのかな。教室のぼっち状態を思い出して、ちょっと不安になった。

「触れられるし、食べれるし、幽霊って思ったのと全然違う」

しみじみ言うと、彼は「だろ?」と、得意気に笑いまたベッドの上で寝そべる。

「……あのさ、寝るときベッドがいいんだけど」

「俺と一緒に寝たいの?」

「……違います」

「タイプじゃないけど、優しくしてやるよ?

「死ね!」

ってもう死んでいるものだから、上手い悪口が言えなかった。(死んでるから死ねとも言えたんだけど)
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